中村穣二展「POW」2017年5月5日(金)~ 5月28日(日)

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TETOKAでは5月5日(金)から5月28日(日)の会期で中村穣二展、「POW」を開催いたします。1974年生まれの中村穣二が描く絵画は、筆線を重ねるごとに意味や形から遊離し、絵の具の厚みが増すごとに画面は静けさをまといます。
ストロークの激しさとは裏腹に。その絵は、灼熱の炎で焼かれる黒楽茶碗のごとく、動から静へと物質を変容する自然の力をも感じさせます。
アメリカで学生時代を過ごした中村穣二の絵画が持つ、現代の抽象表現主義と黒楽茶碗の釉薬のような深く静かな漆黒の美を、ぜひ、この機会にご高覧下さい。

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中村穣二のペインティングは一見大胆な画面だが、その細部を注視すると要所要所であわいの魅力がある。意味と非意味の。黒と白の。黒と黒の。
その黒は単なる色彩としての黒ではなく複数の質感を導入した事で、それらが混ざり合う構成画面そのものの物質的魅力が立ちあがり、独自の作品性を獲得している。
それは例えるなら、陶器、茶器で言うところの「景色」のような、一定の作為を超えた偶然の美(または自然美)を追い続けているように感じる。またその力強いストロークは「書」にも通じるダイナミズムに溢れている。

しかしそのルーツは「和」のみならず「アメリカンカルチャー」とのミクスチャーなのだ。
中村は小学高学年頃に在日米軍人を夫に持つ叔母経由でリーバイスのジーンズやモカシンなどに触れ異国のファッションに魅了され、中高時代はパンク、オルタナティブロックにハマる。しかし音楽には走らずその周辺のフライヤーやジンなどのカルチャーに惹かれ、コラージュを独自にはじめた。
その後3年弱の語学留学で渡米。そこで出会ったルームメイトが皆アートコースの学生であったことも後の中村にかなりの影響を与えたようだ。
彼らの生活とアートと音楽の密接な関係、自由でリアルなDIY精神を目の当たりにした。
しかし中村自身の出自はアートスクールではない。それゆえに活動のかなり初期から、ストリート的なアンチ・アカデミズムを、意識的に指標して来た特異な作家である。

作品の話に戻ろう。
中村のペインティングは自動車塗装のような、永遠に乾かない液体のような艶やかな黒と、木炭やベルベットのように艶のない黒が織りなす漆黒に、キャンバス地による空白の白へ艶やかなアクリルの白が混ざり合い織りなすハイラティチュードな世界。サイズもマチェールもダイナミックな全身表現で半立体的とも言えるその隆起したテクスチャーは絵画としてのみならず彫刻的な魅力も兼ね備えている。
反面、ドローイング作品は非常に脆弱で儚い指先による表現。一見子どもの絵のようでいて、当然子どもでもアウトサイダーでもない中村の絵はそれらの既存価値基準をも揺さぶる。

ストロークの剛柔、画材の強弱、意味性、意味の放棄、白と黒。相反する要素が反発し合うワケではなく、あわいで同居する希少性と面白さが中村の魅力だ。ぜひこの機会に複写では伝わらない実物の味わいを直視していただきたい。

マジック・コバヤシ
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PROFILE
中村穣二
Born in 1974, currently lives and works in Yokohama, Japan
1974年生まれ、横浜市在住
Recent solo exhibitions (selected)
2015 | solo exhibition”Touch Me I’m Sick” CLEAR EDITION & GALLERY, Tokyo, JAPAN
2014 | “GODSPEED YESTERDAY” CLEAR EDITION & GALLERY, Tokyo, JAPAN
2014 | “Drawing Show”, Wishless, Tokyo, JAPAN
2013 | “OXYMORONIC”, CLEAR EDITION & GALLERY, Tokyo, JAPAN
2013 | Daikanyama Tsutaya in shop exhibition, Tokyo, JAPAN
Group Exhibitions (recent selected)
2015 | “THE WORKS” CLEAR EDITION & GALLERY,Tokyo, JAPAN
2015 | Art Kaohsiung, Kaohsiung, TAIWAN

展覧会概要
展覧会名:中村穣二展「POW」
会期:2017年5月5日(金)~5月28日(日)
【オープニング・パーティー:5月5日(金)19:00-23:00 作家来廊】
営業時間:16:00-23:00
休廊日:水曜日
イベントのある日は営業時間が変更となる場合がございます。
TETOKAホームページ、フェイスブックをご確認下さい。
会場:TETOKA
東京都千代田区神田司町2-16 楽道庵1F
Tel: 03-5577-5309
観覧料: 1ドリンクご注文制

2017-05-08 | Posted in ExhibitionNo Comments »