手塚 確 写真展 「 山水|木曽 – 松本 – 漆 – 写真 」 2023年11月4日(土)〜11月19日(日)

2023.10.27

手と花では2023年11月4日(土)〜11月19日(日)の会期で手塚 確 写真展 「山水|木曽 – 松本 – 漆 – 写真 」 を開催いたします。

手塚確は私の父であります。
カクと読む父の名前を子供心に不思議だなと思っていました。カクさん、スケさんの水戸黄門みたい。祖父と会った記憶はなく、何故カクなのか聞いた事はありません。祖父は石太郎と墓跡に刻まれており、石好きの私は祖父の名に因果を感じています。祖母はひとり暮らしの木曽の山の家で、たぶん今まで作った事も食べたことも無い、想像しただけの真黄色カレー粉のスープの様なカレーライスを、夏休みにひとり訪ねた中学生の私に用意してくれる優しい人でした。

手塚確は漆塗りの産地、山深い長野県木曽出身で、木こりや木地師など先祖代々、地場産業である木工や漆の仕事を生業とし、30歳の時に独立して、松本で母の実家のブリキ屋(屋根張りや、箱文字看板制作、雨どい直し)の家屋に祖父の作ったブリキ看板を掲げて、手塚漆器店を開業し、店番を母と母方の信心深い祖母、ブリキ屋の祖父らに任せて自分は今では懐かしい自衛隊色のカーキ帆布張りトラックで各地の催事場(イトーヨーカ堂)の漆器フェアに出店する行商人でもありました。
幼い頃、行商から久しぶりに帰ってくる父が手拭いを頭に巻き、新しい商品を積み込んでは、踵を返してまた出掛けていく配送トラックドライバーような働き者の姿を思い出します。父は麻雀が好きで、自宅に全自動雀卓をしつらえ、友人と麻雀クラブを運営したり、私と弟がせがんで買って貰ったのに見向きもしなくなった初代ファミコンに株運用カセットを差して勉強したり、木片で観音様を彫ったり、仕事の合間に色々と楽しんでいましたが、その趣味の中で一番長く続けていたのが写真です。仕事をリタイアした後は、トラックを四輪駆動車に買い換えて、山深い美しい場所に母と2人で写真撮影に行く事を楽しみにしているようでした。母は隣で俳句を詠んだりして。高校を卒業後、上京し東京にやられていた私には2人の趣味に興味もなく、仕送りで遊んでばかりいました。父の使うカメラ、ハッセルブラッドが主催するアマチュアカメラマンの写真展などに入選すると、一張羅を着て上京し銀座のギャラリーに在廊している姿が微笑ましく、その都度呼び出されては、作品を眺めて、もう少しこんな風に撮ったら!ってな事を偉そうに言っては、スネばかりかじっていました。2人は写真と俳句の本を自費出版したり、ボランティアで幼稚園や老人ホームに手品を披露しに行ったりと忙しくしている様でした。父は癇癪持ちで、よく母はガミガミ言われているのを、まんじりともせずに聞いていた昔を懐かしく思うも、今も相変わらずガミガミ言いながら仲良く暮らしています。母は偉い!今は2人でケアホームに入所して、慰問を受ける側にまわり、遠くに写真を撮りに行く事もなくなり、日がな一日、安曇野でのんびり暮らしている様です。全くやってこなかった親孝行を周回遅れでもと思い立ちこの写真展を企画開催致します。親不孝でごめんなさい。地元で両親の面倒を見てくれている妹夫婦ありがとう。テトカの千絵子さんありがとう。私は父にそっくりです。

手塚敦嗣 [Tetoka] @flaneur.form

漆古物展示
牛抱幾久真 [幾何] [う] @_kika_titcoret
長谷川迅太 [Jinta] [ジンタ商店] @jintahas

展覧会名:手塚 確 写真展 |Kaku Tezuka Photo Exhibition
「 山水|木曽 – 松本 – 漆 – 写真 」
会期:2023年11月4日(土)〜11月19日(日)
営業時間:16:00〜22:00 
休廊日:水曜日 

会場:手と花|TETOKA

住所:東京都千代田区神田司町2-16-8.1F 

Tel : 03-5577-5309