レミ・スキャバスカス 「テリトリー カウナス/ストリート フォト」2023年5月25日(木)〜6月4日(日)

2023.05.14

【5月25日(木)より開催】

リトアニアから作品が届きました。
レミ・スキャバスカスさんの大切な作品が空港で止まってしまっていて心配していたので無事に日本に届いてほんとうに良かったです。
諸事情により開催日が遅くなってしまい申し訳ございません。

日本での個展は初となる、レミ・スキャバスカスさんの「テリトリーカウナス/ストリートフォト」展を皆様にご高覧していただける事を楽しみにしています。

コロナ以前、アジアを撮影旅行中に偶然テトカを訪れたレミはリトアニア人だと自己紹介してくれて、ほんの1時間こちらの拙い英語に丁寧に作品の説明や同郷のジョナス・メカスの事などを話して、次の国へと旅立って行きました。それ以降 SNSの向こうにモノクロームの美しい写真を眺めていました。日本やアジア、ヨーロッパの都市の写真は被写体の人種や慣習、建築物がその国特有の風土をまとっているにも関わらず、レミの写真はフレームに捉えられた瞬間に無国籍で均質な粒子へと還元されていく様です。人も場所も時間も超える、レミ・スキャバスカスの写真をぜひご高覧下さい。

Remis Scerbauskas -Territory Kaunas / street photography

この展覧会は、テトカギャラリーのために特別にプリントした写真で構成されています。
本展の写真は、私がカウナスで撮影したストリートの12年間を写真集としてまとめた本の中から選びました。

東京の皆様にご紹介できる機会をいただき、大変嬉しく思っています。カウナスは杉原千畝が住んでいた街です。それは、日本との小さな優しいつながりです。

ありがとう。

( レミ・スキャバスカス )

レミ・スキャバスカス/Remis Scerbauskas

リトアニア・カウナス生まれのレミ・スキャバスカスはストリートシーン、ポートレート、モーションブラーの動きを得意とする写真家です。写真家の眼は人生のパフォーマンスを捉えるためのユニークなアプローチを常に求めています。彼の芸術的なスタイルはモノクロのスタジオポートレートの制作に強いこだわりを持って発展してきました。6年間スタジオ撮影に従事した後、現在の都市環境のユニークな見方を求めてストリート写真に創造的な転換を図っています。レミ・スキャバスカスは、オンラインギャラリーやストリート写真集で100枚以上の写真を発表しています。彼の作品はいくつかの国際的なストリート写真コンテストで認められて賞を受賞しています。現在レミ・スキャバスカスはギャラリーやオンラインカタログで積極的に作品を展示しています。2021年デビュー写真集 “Territory Kaunas/Street Photography”を発表した。

Instagram
@remis.scerbauskas

Remis Scerbauskas

Born in Kaunas, Lithuania, Remis Scerbauskas is a photographer specializing in street scenes,portraiture, and motion blur movements. The photographer’s eye constantly seeks a unique approach to capturing life’s performances. His artistic style has developed with a strong focus on creating black and white studio portraits. After engaging in studio photography for six years, he made a creative shift to street photography in search of a unique view of the current urban environment. R. Scerbauskas has over a hundred published photographs in online galleries and street photography books. His work is recognized and has been awarded in several international street photography competitions. Currently, Remis Scerbauskas is an active exhibitor of his work in galleries and online catalogues. In 2021, he released his debut photography book,
“Territory Kaunas/Street Photography.”

リトアニアは、ポーランド、ベラルーシ、ラトビアに囲まれ、バルト海に面し、対岸は北欧スウェーデンです。首都ヴィリニュスから1時間半の第二の都市カウナスは、第二次世界大戦以前は首都でありました。そのカウナスに暮らすレミ・スキャバスカスの、日々の暮らしの中で撮られたストリートスナップを展示致します。

カウナスは日本と不思議な縁で繋がっています。杉原千畝、第二次世界大戦当時、当地の大使であった杉原が外務省の命令に逆らって多くのユダヤ人にビザを発給し、ホロコーストから救った(命のビザ)は映画にもなっており、カウナスに記念館もあります。

前衛映画の守護者、ジョナス・メカスもリトアニア出身で、世界大戦時にアメリカに亡命しています。今は無き、生意気の作った六本木スーパーデラックスで90歳を過ぎたメカスが出演者を前に、腰を落としてビデオカメラを構え、2時間近く撮影し続け、汗まみれの姿を見て驚愕し、持参の(メカスの映画日記)にサインをお願いすると、今日は出演者が主役で自分はその立場に無いと言う様なニュアンスの事を言われたのですが、丁寧にサインを入れて頂きました。

ベン・シャーンは、カウナスの貧しい木彫職人の子として生まれ移民の後、アメリカを代表する画家となりました。ポップアート前夜のアメリカンアートを牽引し、アンディー・ウォーホルの初期ドローイングに多大な影響を与えています。
ベン・シャーンの絵本、(ここが家だ)は、日本の漁船、第五福竜丸がビキニ沖でアメリカの水爆実験に巻き込まれて、乗船員、全員が被曝した事実を明らかにした意義深い素晴らしい仕事です。

ジョージ・マチューナスもまた、リトアニア出身でフルクサスを主導したアメリカのアーティストです。ジョン・ケージの最も有名な楽曲《4分33秒》のスコアには演奏しないという意味の「タチェット」のみが書かれた、この楽曲はフルクサスのコンサートでも演奏され、オノ・ヨーコ、塩見允枝子、久保田成子、斎藤陽子の4人の女性作家が参加しています。実験工房のメンバーであった秋山邦治や山口勝弘、ハイレッド・センターのメンバーである高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之もフルクサスとの協働のイベントがあります。

フルクサスはラテン語で「流れる」や「変化する」を意味します。

リトアニア出身の3人のアーティストは皆、アメリカに流れ着き、変化し、その地で世界に名だたる仕事を残しました。その情熱と異国人である自出が、作品や思想、他者を思いやる優しさに繋がっている様です。

リトアニア・カウナス出身のレミ・スキャバスカスもまた、世界を巡り、たどり着いた異国の地で優しい眼差しを路上に注ぎ、静かにシャッターを切るのです。世界が動き始めた今、故郷カウナスを同じ様に切り取るレミの日常をぜひご高覧下さい。

展覧会名:レミ・スキャバスカス 「 テリトリー カウナス/ストリート フォト」
Remis Scerbauskas – Territory Kaunas/street photography

会期:2023年5月25日(木)〜6月4日(日)
営業時間:16:00〜22:00

休廊日:水曜日

会場:手と花|TETOKA

住所:東京都千代田区神田司町2-16-8.1F
Tel : 03-5577-5309