本田誠展「リハビリ」2017年8月5日(土)~8月27日(日)

2017.08.15

TETOKAでは8月5日(土)~8月27日(日)の会期で本田誠展「リハビリ」を開催いたします。

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Dennis Hopper oil on canvas 318×410㎜

今回の展示の紹介文を頼まれ、出来上がっている絵を見に本田君の部屋に行った。知り合ってからはずいぶんと長い時間が経つが、彼のところに行くのは初めてだった。入ったとたん懐かしい感じがした。ベッドの横にイーゼルがある美大生のような絵描きの部屋だ。

ーここ長いの?

「うん」

新作のジミヘンやカートコバーン、エイミーワインハウス、トムハンクス等々、本田が気になって選んだというアイコンたちのポートレイトシリーズの油彩がずらり、びっしりと部屋の壁に飾られている。かなり時間をかけて選んだ写真を見て描いた、というそれらの絵は、写真よりもそっくりな気がして生々しく何かを感じてしまう。少し怖い感じすらするのに、それと同時になんか透明感といった風にしか表現できないものが感じられる。

もともと僕は彼の若い頃の風景画の様な絵が好きで何枚か持っている。絵がうまいなあとはわかっていたけど、それ以外に僕の勝手な印象をつたない言葉にすれば、“孤独”“浮遊” “寂寥” “清潔” “郷愁” “透明”というような、たとえば映画でいえばタルコフスキーのような世界観をイメージするような絵だった。それから時間がたって、最近は暗闇からこちらを見据えてるように見える動物や人物や物のポートレイトをぽつぽつと発表している。

ーどうして風景からポートレイトに変化したの?

「風景は描いてないですよ」「描いてるのは一緒ですよ」

ーじゃあ、何を描こうとしてるの?

「空気」

ーえっ、空間? 雰囲気みたいなの?

「空気。空間なら簡単に出るじゃないですか?」

といって一枚の風景が抽象化したような(マークロスコの、あのスタイルになる直前の絵のような)絵を持ってきて置いた。確かに空間が描かれている。彼の言わんとすることが少しわかった気がした。

ー(今回の)どれが自分では気に入ってるの?

「あれです。」といってブコウスキーのポートレイトをとって渡してくれる。気になってたやつだ。とてもきれいな絵だ。ペールグレーに、うっすらと淡いピンクのタッチの残るブコウスキーらしくない色のブコウスキー。はじめて意見が一致した気がした。

しばらくまた新作群を眺めていると描かれた目が気になってきた。

ー目がなんか凄いね?

「水晶体てきれいだよな」

絵の前で二人で眺めてた。

帰り際、長い時間居たのにあんまり絵の話をしてなかったなと、少し後悔した。
そんな事を考えながら、たまに本田君の絵の事を思い出しながら帰路につく途中、はっとロバート・メイプルソープの写真のようだなと気づいた。本田君の絵は、長い時間をかけて、どんどん暗く冷たい(と言ったら語弊があるが)透明感が増して画面が強くなってきているのだ。そう思うと、同時に別の場所でやる、まだ見ていない動物のシリーズとともに、もう一度、あらためてあのポートレイトたちを見るのが楽しみになってきた。じっくり時間をかけて観て欲しい絵だなと思う。何かを強く感じざるを得ない体験が出来ると思う。ブコウスキーのポートレイトホントきれいだったな。

角田純

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Sid Vicious oil on canvas 318×410㎜

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The Man From Another Place oil on canvas 318×410㎜

同時開催情報
展覧会名:幻獣画展 KYOTARO×HAMADARAKA×本田誠
会期:2017年8月16日(水)~9月2日(土)
営業時間:18:00~23:00
定休日:日・月・火
会場:スタジオ35分(164-0002 東京都中野区上高田5-47-8)
35minutesonly@gmail.com
http://35fn.com/
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展覧会概要
展覧会名:本田誠展【リハビリ】 Honda Makoto exhibtion Rehabilitation
会期:2017年8月5日(土)~8月27日(日)
【オープニング・パーティー:8月5日(土)19:00~ 作家来廊予定】
営業時間:16:00~23:00
イベントのある日は営業時間が変更となる場合がございます。詳細はTETOKA ホームページ、Facebookをご確認下さい。
定休日: 水曜日
会場:TETOKA(東京都千代田区神田司町2-16 楽道庵1F)
Tel: 03-5577-5309
観覧料: 1ドリンクご注文制