渡部剛「KUMA NOVA」2015年1月24日(土)~2月8日(日)

TETOKAでは、2015年1月24日(土)~2015年2月8日(日)の会期で、
渡部剛の個展「KUMA NOVA」を開催いたします。
ご多忙の折とは存じますが、本展を皆様にご高覧頂ければ幸いです。

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渡部剛はかつて佐藤直樹、都築潤、小田島等、池田晶紀、私ことマジック・コバヤシ
(後に水野健一郎が参加)、が主催する美学校の講座「絵と美と画と術」の受講生だ
った。

某名門私大を中退して当校にたどり着いた渡部は既に作品制作をしており、その作品
はある意味で当時完成していたように思う。しかし渡部はさらなる飛躍を志し、好奇
心に満ちたその眼差しで当講座を楽しんでくれたようだ。それゆえなのかは定かでは
ないが「RHYMESTER 逆featuring クレイジーケンバンド」的?なキュレーター指名
を受け、うれしく思い今こうして紹介文を書いている。
私はロジカルでクレバーな渡部を「優等生」と揶揄していたが、実際のところかなり
優れたものを持っていた。今回のメイン展示である熊の作品も当時既に制作していた
のだから。熊の木彫り…北海道土産の超定番。テレビがまだ奥行きありまくりのブラ
ウン管だった昭和の頃、実家の家具調テレビの上が定位置だった熊の木彫り。テレビ
が薄くなった今、完全にその居場所を失い、時代感にそぐわなくなり価値が大暴落し
た熊の木彫り。その死に体に再び新たな価値を与えたのが渡部だ。観た瞬間、そのメ
ディア論的な解釈とは別に単純に「良いじゃん!」と思ったし、そう口走った。彫り
に沿って塗り分けたPOPな色彩は、あの重々しい木の重量感を月面重力レベルに軽や
かにした。その色面はパターン、つまり反復であった。反復、これもまたPOPの最重
要要素ではないか。POPの肝がわかっている渡部はやはり優等生だ。いや、今やライ
バルであり同志なのだ。
美学校では実のところ、なにも教えていない。ただ、ブラックミュージック風に言う
ならスキルではなくソウルを継承できたんじゃないかと思っている。

2015年1月  マジック・コバヤシ

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2008年頃に北海道土産の木彫りの熊を買いました。平凡なリサイクルショップで出会
った木彫りの熊は、かつては北海道土産の定番であったようですが、今ではほとんど
悪い冗談のようなおみやげです。店の奥の光もあまり当たらない一角で、ホコリっぽ
い模造刀や重くて立派な将棋盤と一緒に、かつて一世を風靡したギャグを持つ「一発
屋芸人」のようにその熊は鮭をくわえていました。
最初からそれで何かをしてやろうというアイディアがあったわけではなく、ただ「結
構な人が知っているものなのに誰も持ってない」感じがなんだか面白くて買いました。

「木彫りの熊」というものはいわゆる「民芸品」というジャンルにあるものだと思う
のですが、日本各地にある観光地に行くと、そこにはその土地の素材を使って様々な
趣向を凝らした民芸品が並んでいます。そして不思議なことにと言うべきか、当然と
言うべきか、それらを欲しいと思ったことがまあありません。どうでも良いと言えば
どうでも良いのですが、「木のぬくもり」や「素朴」というコピーや言葉の手強さ。
手強いと思ってしまう自分が、そもそも濃い味や派手で雑食な東京というものに毒さ
れているということも多分にあるとは思うのですが、その一方で「わび・さび」好み
や「自然」というものへの憧れや執着などがあったりします。
まるで安土桃山から戦国時代にかけてあった信長・秀吉と千利休の間の極端な価値観
の往復、スタイル・ウォーズみたいなものの業が「民芸品」と呼ばれるものにはある
ような気がしています。
お金持ちのためのものでないから、農民や平民が日々の暮らしの中で産み出している
から、即「ぬくもり」や「素朴」が発生するのかどうか、というところに「うそーん、
そんな単純なもんなんすか〜?」という「素朴」な疑問をたまに、ほんとにたまーー
に抱きながら色を塗っています。

ちなみに北海道土産の木彫りの熊ということで、アイヌ民族の熊狩りの儀礼「イヨマ
ンテ」があるためにアイヌの民芸品なのだろうと早合点していたのですが、どうも違
うみたいです。
もとは大正時代に函館から100キロほど北上したところにある八雲という町に入植して
いた尾張の徳川のお殿様が、旅行で寄ったスイスのベルン(「BEAR:ベアー」という
意味)という町で買った木彫りの熊を、農民につくらせたのが発祥だそうです。

最後に、今回の展示をさせて頂くTETOKAの小林千絵子さん、手塚敦嗣さんと、本展の
キュレーションを快く引き受けて下さったマジック・コバヤシさんに感謝いたします。

2014.12.31 渡部剛

[渡部剛/Go Watabe]
1979年東京生まれ。2010年度美学校「絵と美と画と術」講座修了。NBA経由でヒップ
ホップに衝撃を受けてハマるもカミングアウトするには早すぎた90年代前半の中学時
代を経て、ストリート/パーティー/不良文化の完全な履き違いとして発現する毎週
末の競馬狂いと化した高校時代。
そんな10代の最中にママチャリで東京散策することに熱中し「東京」を見つける。
その途中で様々な「風景」「音楽」「美術」「文学」「雑誌」「芸人」を発見して今
にいたる。具体的には、古雑誌や赤文字雑誌のキャッチコピーを大量に切り貼りした
り(「夢の島、あるいは未完の廃墟」シリーズ)、レコードジャケットとレコードに
コラージュ/ペイントをしたり(「GREATEST HITS」シリーズ)、ペイントしたレコ
ード盤の音をサンプリングして再構成して曲をつくったり(「Scratch&Melt」
シリーズ)、北海道土産の木彫りの熊にペイントしたり(「BEAR Garden」シリーズ)
、たまに絵を描いたりなど。
最近の主な展示:「Central East Tokyo 10(2010)」、「TRANS ARTS TOKYO
2012(2012)」「3331アンデパンダン スカラシップ展(2013)」、「渡部剛×齋
藤祐平展『SOFT SHOP』(2014)」

展覧会概要
展覧会名:渡部剛「KUMA NOVA」
会期:2015年1月24日(日)~2月8日(日)
[オープニング・レセプション 1月24日(土)19:00〜22:00 作家来廊]

★1月31日(土)(FOOD)マジック・コバヤシによるマジックインド風カレー 19:00〜
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★2月7日(土) ミヤタケイコ ワークショップ「シャケをくわえた木彫り熊風味のブローチを作ろう!」&トークショー

●ミヤタケイコ ワークショップ「シャケをくわえた木彫り熊風味のブローチを作ろう!」
時間:15:00-17:00
参加費3000円(材料費込+1ドリンク付)
(事前予約・当日支払・当日参加も大歓迎です)
★お問合せ&お申込み★
こちらtetoka.kanda@gmail.com のメールに
お名前・参加人数・メールアドレス・お電話番号をお書きの上、お送りください。

●トークショー
渡部剛/マジック・コバヤシ/ミヤタケイコ
ミヤタケイコのうちの変わったコレクション、へんてこ方面の木彫り熊などの画像を見ながら木彫り熊周辺の事をお話する予定です。
時間:18:00-19:00
参加費:1000円(1ドリンク付)
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★2月8日(日)展示 最終日トークショー 『美学校「絵と美と画と術」補講ーつくるための下地づくり』18:00頃から
出演者:佐藤直樹、マジック・コバヤシ、渡部剛
入場料:1000円(1ドリンク付き)

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営業時間:16:00~23:00
イベントのある日は営業時間が変更となる場合がございます。TETOKA ホームページ、Facebookをご確認下さい。
定休日: 水曜日
会場:TETOKA(東京都千代田区神田司町2-16 楽道庵1F)

2015-01-14 | Posted in ExhibitionNo Comments »